顧客との関わりが密接なサポート・問合わせ業務は、ユーザーが「適切な対応をしてもらえた」「今後も利用したい」と感じ、サービスや製品、ひいては企業自体のファンになってもらえるかどうかを左右する重要な接点です。
問い合わせ件数が増えてくると紙やExcel、スプレッドシート等の管理では情報分散や対応漏れ、二重返信など思わぬミスや業務効率の低下を招く要因となりえます。
こうした問合せ業務にまつわる課題を解決するべく、本記事では、CRMで問合せ管理をするメリットや成功事例などを踏まえて、CRMを適切に活用し業務効率・顧客満足度の向上を実現する方法をご紹介します。
CRMで問い合わせ管理をする目的とは
CRMで問い合わせ管理をする際「CRMで問い合わせ管理をする目的」がとても重要になってきます。
この目的が明確になっていないと、CRMに情報を入力する作業自体が目的になってしまいます。まずは問い合わせ管理をする目的をいま一度整理してみましょう。
問い合わせ対応の効率化
問い合わせ対応には、迅速かつ適切な対応が求められます。CRMによって顧客情報と対応履歴を一元管理し、各担当者が容易にアクセスできるようなれば、情報の共有により、顧客への対応がスムーズに行え、過去のやり取りも簡単に確認できます。また、自動化機能を活かし、対応履歴の入力や更新を効率的に行うことで、時間の節約と作業の効率化が実現され、顧客へのサービス向上が期待できます。
属人化からの脱却
- 問い合わせ内容や状況が担当者でないと分からない…
- ベテラン社員にしか分からない業務がある…
このような属人化の状態はよくあることですが、担当者がお休みしたり退職したりすると、業務が滞るだけではなくミスが増え適切な対応が出来なくなってしまうのは大きな問題です。
本来問い合わせ管理は、誰もが同じクオリティで対応できることが理想です。
情報が一元化されることで、すべての顧客の対応履歴を確認することができるので担当者が急にお休みしてしまっても影響は少なくてすみます。
Excel管理のリスクを解消
問い合わせ管理にExcelを用いる企業は少なくありません。使い勝手がよく汎用性が高いExcelはメリットが多い反面、デメリットやリスクも多くあります。
- データの整合性の欠如
Excelは手動でデータを入力する必要があり、入力ミスや重複などが発生しやすいため、データの整合性が損なわれる可能性が高まります。
- 共同作業の難しさ
複数のチームメンバーが同時にExcelファイルを編集すると、データの競合や不整合が発生しやすいため、共同作業にはあまり向いていません。
- 拡張性の制限
Excelは管理するデータ量が増えると処理が遅くなる傾向があります。迅速な対応が求められる顧客対応業務で「顧客情報のファイルが重すぎて開くのに時間がかかる」というのは、対応スタッフ側も顧客側も良い面がありません。
- 自動化の難しさ
Excelは手動での操作が主体です。そのためワークフローの自動化や特定のルールに基づいた処理を実現が難しいため、むしろ非効率化してしまう恐れがあります。
問い合わせ情報を顧客のニーズ分析に活用できる
顧客情報や顧客の声を蓄積し分析することで、問合せ対応の質の底上げと顧客満足度を向上させることが可能です。 また、全社的にデータを有効活用することでサービスそのもののや製品の改善にもつなげることができます。
CRMでの問い合わせ管理による属人化脱却事例
実際にCRMを問合せ管理に活用したことで、課題を解決した事例を紹介します。
ある総合建物メンテナンス会社では、問い合わせにおいて対応の属人化や業務情報の散在などの問題に悩まされていましたが、CRMの導入により以下のような成果をあげています。
問い合わせ管理業務で抱えていた課題
情報の散在による業務効率の低下
紙の書類で管理を行っていたが、問い合わせ対応に必要な情報を見つけ出すのに時間がかかり、既存の書類を見つけ出せず新たに書類を作り情報が重複してしまっていた。
情報共有がスムーズに行えていない
問合せ履歴・対応内容は個人の記憶やメモで管理していた為、情報共有ができておらず、対応が属人化していた。
業務の属人化
発注・見積・請求などの業務が紙やExcelを駆使していたため、Excelの知識が豊富なベテラン社員頼みとなり業務が属人化していた。
CRMでどのように改善したのか?
情報の一元化・ペーパーレス化で書類整理などが不要に!
CRMに情報を集約することで、必要な情報を検索で簡単に呼び出すことが出来るようになった。重複も解消され、情報を正確に管理することが出来るようになった。
情報共有がスムーズに!
問合せに関する情報をCRMに入力することで、情報の共有がスムーズに行えるようになった。 問合せのあった電話番号から顧客情報を検索することで、過去の対応履歴を即時に確認出来るため、担当者以外でも適切な対応が可能となり属人化が解消された。
脱Excelを実現し、特定個人に依存せずに業務が行えるようになった!
発注・見積・請求業務がCRM上で行えるようになったため、問い合わせを受けた担当者が簡単に発行出来るようになり属人化が解消された。
問い合わせ管理業務の課題を解決したことで
CRMを導入し、全社的に展開したことで抱えていた課題を解消できただけでなく、ミスやトラブルの抑止、問合せ以外の業務面でも業務が効率化されました。
また、I社では全体の業務効率化やミス・トラブルの大幅に軽減されたことで、入居者さんや大家さんの評判も非常に高くなり「サービス品質の向上」にもつながっています。
このように、CRMでは問い合わせ管理そのものに対してだけではなく、問い合わせに紐づく様々な情報を部署内の連携に留まらず会社全体で情報を共有することで、業務の改善に加えて「サービス・製品の品質向上」の糸口や「顧客満足度・顧客ロイヤルティの向上」という+αの成果をあげることが可能です。
問い合わせ管理に適しているCRMとは
問い合わせ管理ではコールセンターで使われているようなツールが必ずしも適切とは限りません。複数チャネルでの問い合わせ管理機能は、日常の問い合わせ業務や電話の受付業務では過剰すぎてしまいます。
とはいえ、案件管理に特化しているSFAでは機能が足りません。
問い合わせ業務で扱う顧客情報は他の業務・他の部署でも必ず接点がある情報です。だからこそ、全社的に情報を一元管理でき、活用できるCRMは他のツールと比較してもコストパフォーマンスが高いと言えます。
ただし、CRMの中でも備わっている機能には傾向があり、問い合わせ管理機能が簡易的なものや設定にほとんど自由度がないツールも存在します。抱えている課題にもよりますが、CRMで問合せ管理を行うのにどんな機能が必要なのか、代表的なものを抜粋してご紹介します。
問い合わせ管理に必須な機能
<問い合わせ日・回答日の管理>
いつ問い合わせが来ていつ回答したかは、対応速度を計測し対応の品質を保つ上でも重要な項目です。
<ステータス管理>
「オープン、受領済、対応中、回答済み、完了」等のステータスで管理すれば、一目で対応状況を確認することができます。
<エスカレーション管理>
「オープン、受領済、対応中、回答済み、完了」等のステータスで管理すれば、一目で対応状況を確認することができます。
<検索性>
履歴から似た問い合わせを検索でき、FAQとしても活用出来るものがよいでしょう。
<ワークフローによる通知機能などの高度な機能>
受領メールの自動送付や、回答期限のリマインダーなどの機能は有料オプションとなっているものも多いですが、基本機能に含まれているものがおすすめです。
あったら嬉しい…!+αの機能!
CRMでの運用が定着してきたら、以下のような機能の導入も考えてみるといいかもしれません。
<カスタマーポータル>
カスタマーポータル上ではお客様との情報共有が可能なため、運用次第では電話・メール・FAX等で行っている問い合わせをすべて集約することが出来ます。カスタマーポータルに登録されたデータはCRMに連携されるため、CRM上での管理が可能です。
カスタマーポータルを利用することにより問い合わせ管理の効率化はもちろん、顧客との関係づくりや限定のコンテンツやドキュメントを提供するなどのカスタマーサクセスにも活用出来ます。
CRMを活用して問合せ管理を最適化
問合せ業務は迅速な対応を求められ、煩雑な事務作業も多い為、ついつい業務効率の改善だけに意識が向きがちになりますが、問合せ対応の品質は顧客満足度に直結する非常に重要な顧客接点です。
だからこそ、課題整理やシステム選定をする上で顧客満足度の視点を忘れてはいけません。
情報を一元管理でき、全社的に展開することが可能なCRMであれば、問合せ管理を通じて顧客から得た情報を有効活用し、問合せ対応の品質だけでなくサービスや製品のさらなる飛躍につなげることができます。
ぜひ、CRMをうまく活用してより良い問合せ管理を実現しましょう。