顧客の選択肢が大幅に増えた昨今、他社と差をつけ継続的に顧客を獲得するには顧客目線の企業変革が必要不可欠です。
そして顧客目線の企業への変革には、CRMの活用が重要な役割を担っています。
本記事では、CRMを活用した顧客中心のアプローチがもたらす変革について探っていきます。

「モノ」中心から「顧客」中心へ

従来のビジネスモデルの特徴は「モノを売ったら終わり」という、売り切り型ビジネスがスタンダードとされてきました。しかし、インターネットやデジタル技術の普及により、「企業から顧客へ」という「一方通行型」のビジネスモデルではなく、継続的にサービスを提供する「サービス提供型ビジネス」が注目されています。

なぜ「サービス提供型ビジネス」が現代において注目されているのでしょうか。
それは近年の社会や経済、デジタル技術などの激しい変化によりVUCA(Volatility【変動性】、Uncertainty【不確実性】、Complexity【複雑性】、Ambiguity【曖昧性】)と呼ばれる市場の先が読みづらい状況になったことが一つの理由として挙げられます。

先行きが読めない状況で企業が生き残っていくには、市場の目まぐるしい変化に合わせ柔軟かつ迅速に対応していく必要があります。
従来の「モノを売ったら終わり」の売り切り型ビジネスでは、顧客ニーズの把握が難しく、市場の変化に対応できません。
そのため、顧客データの集約や分析をし、適切に顧客のニーズに応えていく「サービス提供型ビジネス」が注目されるようになりました。

継続的に顧客接点を持ち続ける「サービス提供型ビジネス」は、「顧客ニーズをもとにサービス改善を繰り返す」という好循環を生み出すことで付加価値の高いサービスを常に顧客へ提供し、顧客満足度の向上が期待できるというわけです。

近年の社会情勢から、今後も市場は急速に変化し続けることは自明です。

つまり、激しい企業間競争に生き残っていくには「サービス提供型ビジネス」への変革が必要不可欠と言えるでしょう。

CRMの役割と重要性

顧客目線を重視し、長期的な顧客接点をもつ「サービス提供型ビジネス」では、顧客情報の管理が成功の鍵を握るといっても過言ではありません。
そこで、重要なキーポイントになってくるのがCRMの活用です。


なぜCRMが必要なのか、ポイントは3つあります。

  1. 顧客ニーズの集約
    CRMは顧客情報を一元管理し、分析することができます。
    顧客の購買履歴や行動データを収集し、分析することで顧客のニーズを把握することができます。
    そのため顧客ニーズに基づいて、サービスや商品を改善し提供することが可能になります。
  2. 顧客接点の多様化(マルチチャネル化)に対応
    近年、インターネットやSNSの浸透により、オンライン上での企業との接触は既に当たり前になっており、顧客接点のデジタル化は顧客ニーズに応えるには必須の要素です。そして多様な接点に対応した際、各チャネルの履歴の管理もまた重要になってきます。
    チャネルごとに履歴や情報が分散してしまうと、社内での情報共有がスムーズに行えず、顧客満足度向上どころか逆にトラブルやクレームの発端になるおそれがあります。
    そのため、CRMを活用し、各チャネルの履歴を顧客情報に紐づけて効率的に管理することで、顧客接点の多様化のメリットを最大限に引き出すことができます。
  3.  顧客との継続的な関係構築が可能
    「サービス提供型ビジネス」の最たる特徴は、顧客と継続的な関係構築が必要な点です。 CRMは部署や業務フェーズにとらわれることなく、統合的に顧客情報を管理できるため、顧客との継続的な関係構築を後押しすることが可能です。

顧客接点の限られる「売り切り型ビジネス」であれば、業務フェーズや部署単位で各情報の管理をしても、ある程度成立します。一方「サービス提供型ビジネス」の場合、顧客との接点が長期的なため、自ずと管理する情報は多くなります。顧客情報が分散すると、顧客対応時など様々な場面で効率が低下し「確認や対応に時間がかかる」「社内で情報が共有されていない」などのマイナス印象を与えかねません。

重要なのは顧客情報を分断させないこと

なによりCRMが「サービス提供型ビジネス」に適しているのは「顧客情報を統合的に管理できる」という点です。

CRMを活用せずに業務フェーズに合わせてSFA、MAツール、販売管理のツールをそれぞれ導入したり、顧客のやりとりをするチャネルごとに管理をしたりという運営でも一見成り立つように思えます。

しかし、そのためには十分な人的リソースが確保でき、社内の情報共有がスピーディーに行えることが前提の運用フローを成り立たせる必要があります。

人事異動や入社・退職などの人流も踏まえると、顧客情報が分散した運用は効率の低下ばかりか、属人化や人的ミスを招きやすい面もあり、現実的ではありません。

そのため「サービス提供型ビジネス」には、業務フェーズや部署にとらわれず、効率よく顧客情報を一元管理できるCRMの活用が向いているというわけです。

まとめ

「サービス提供型ビジネス」への転換は、顧客との長期的な関係構築を重視する重要な変革です。

CRMは「顧客ニーズをもとにサービス改善を繰り返す」という循環を効率よく実現し、「サービス提供型ビジネス」のメリットを最大限に引き出すことができます。

とくに「顧客ニーズの集約」で市場の変化に対応でき、「顧客接点の多様化(マルチチャネル化)対応」と「顧客との継続的な関係構築」を実現することで顧客満足度の向上を期待できる点は「サービス提供型ビジネス」への転換を成功に導く重要なポイントです。

顧客目線の企業変革が今日でも注目されている中、CRMの活用は競争に勝ち抜くための鍵となります。顧客の選択肢が増える時代において、差別化を図り継続的な顧客獲得を果たすために、CRMを活用して顧客中心のアプローチを実現しましょう。