~すべての顧客情報を共有して生産性を向上~
生産性が低い理由とは?
生産性という言葉は広く知られるようになりつつあるものの、まだビジネスにおいて十分に意識されてはおらず、生産性向上も実現されていません。
日本の生産性の状況について研究・提言を行っている公益財団法人の日本生産性本部は2022年度の調査で、一人当たりの労働生産性はOECD加盟国38か国中29位であるとしています。1970年以降で最も低い順位となっており、日本の生産性における課題を指摘しています。
なぜ日本の企業は生産性が低いのでしょうか。理由は多数考えられますが、そのひとつとして、情報の共有と活用ができていないということが挙げられます。
企業にとって、情報は重要な経営資源となります。営業活動ひとつとっても顧客情報や案件情報をはじめとした多くの情報を所持しています。その情報を担当営業一人が抱えたままで、他の社員に共有されていないとどうなるでしょうか。
マネージャーが営業進捗を把握するのに、いちいち担当営業に確認をとるので時間がかかってしまうし、担当営業が過去に成約した営業方法を知り得ず、その他の社員は長時間を費やして成約しなければなりません。このように、情報共有されていない状態では、社員の労働時間にも多大な影響を受けてしまいます。
情報共有することは、無駄な労働時間が改善され、業務効率化にも繋がるのです。
コト売りを実現するために
もう一つ生産性を高めるために、営業方法の変化に企業が対応していく必要があります。
企業の営業活動はモノ売りからコト売りへ変わったとよく言われます。特に情報の活用の仕方については、この変化と同じようにアップデートさせていかなければなりません。
モノ売りとコト売りの最も大きな違いは、商品/サービスを売ることを目標とするか、商品/サービスが売れた後の消費者の満足を目標とするかという点にあります。
コト売りへの変化の代表例として、CDを買うことが一般的だったのがサブスクリプションサービスで音楽を楽しむようになった、ということがあげられます。音楽のサブスクリプションであれば、顧客の嗜好に合わせた音楽を常に提供する事で顧客から満足を得て収益を得ます。言い換えれば質の高いサービスによって顧客から満足を得なければなりません。

消費者は商品そのものではなく商品を含めたサービスがもたらす価値にフォーカスするようになっています。この変化に合わせて、企業は情報の活用方法も見直す必要があります。どのような商品であれば売れるかという従来のニーズを追うのではなく、どのような価値が必要とされているかを分析できるように活用していくことが必要です。
そのためには、顧客からの声を受け取って活かすことのできる仕組みが必要です。カスタマーサポートへのご意見やお問合せをそのとき限りの対応で終わらせるのではなく、顧客からのフィードバックとして蓄積・共有・分析をする体制を整えることで、顧客の期待の変化や反応を効果的に捉えることができます。
- 「モノ売り」は売る事がゴール
- 「コト売り」売る事がスタート
サービスとは「顧客の事前期待に適合する」と定義される事もあります。
変化の代表例として挙げたサブスクリプションサービスであれば、聴きたい曲がサービス上で聴けるのか、自動的におすすめされる曲はユーザーの好みにマッチしているか、さらに音質や操作の快適性など様々な要素が顧客の事前期待となります。
CDを売るのであれば、消費者がCDを買ってしまえば、あとは消費者に対し企業がすることはほとんどありません。しかし、コト売りであるサブスクリプションサービスでは顧客の事前期待をキャッチし、それに適合した満足のできるサービスを継続的に提供していく必要があります。長期間に及ぶサービスでは事前期待が変わっていくこともあり得ます。これを達成するために、顧客のフィードバック、反応、要望、意見の扱い方・捉え方が必要だということです。
顧客との接点から得られた貴重なフィードバックである顧客からの反応や意見が対応担当部署で止めるのではなく。担当部署以外の経営陣や研究開発部門、企画・設計といった部門にもこれらの情報を共有することで、顧客からの声を踏まえたマーケティングや営業活動を実行していくことが可能になります。つまり、企業全体でコト売りを行う体制が整うということです。
情報の整理と共有の重要性とは
また、顧客の満足につながるサービスを継続して提供するためには、ニーズ以外にも様々な情報を蓄積し、企業内で迅速に共有することが重要です。様々な情報が存在する社内で、情報を一元化し、全ての社員がその情報を業務出来る状態にしておくことで、どのような顧客と接する時でも質の高いサービスを提供することが可能になります。

情報が一元化され共有されていないとどのようなことが起こってしまうのでしょうか。情報が適切に整理されずに、発注業務が円滑に行えなかった企業のケースを見てみましょう。
顧客情報や注文の履歴を残していなかったこの企業では、継続して注文をいただいているにもかかわらず取引先へ折り返しの電話をして注文の確認をしなければなりませんでした。配達を行う際にも、取引先企業の情報が共有されていなかったため、いつも配達を行っている担当者でないと迅速な配達が行えていませんでした。納品書や伝票に関する業務においても、正確な情報を社内の他部署へ共有できる仕組みがなかったために、取引先への直接の確認も行わなければならないという状況でした。
情報が適切に整理・共有されていなかったため、スムーズて質の高いサービスを提供することができず、顧客の満足は得られていないケースです。
CRMの導入がもたらす効果とは
このように、情報の一元化と共有ができていないと、業務の様々な点で手間が発生してしまいます。これを防ぐために、自社社員や顧客等の業務に関連する人すべての最新かつ正確な情報を社員全員に共有できる仕組みが必要です。このような場合にはCRM(顧客関係管理)システムが最も適しています。 お客様の基本情報、お取引情報、お問合せ履歴などがすべて蓄積・一元管理されており、全社で最新の情報を共有することができるシステムです。
このCRMシステムを活用することで、自社の提供するサービス/サポートの質の向上はもちろん、システムに蓄積されていくデータを消費者が期待する価値の分析に役立てることが可能になります。
顧客とのかかわり方を見直し、その時限りにならないサポートを提供するとともに、その際に頂いたご意見を集約して活用できるかが、顧客による期待の変化に適応するためのカギとなります。デジタル化がこれまで以上に進み、消費者との接し方も大きく変化してきている現在、消費者の声を通して新しい形で需要をキャッチすることが生産性の向上を実現します。
企業全体での生産性向上、ひいては日本の生産性向上を実現すべくCRMの導入をご検討してみてはいかがでしょうか。