WEBサイトやSNSなど対面以外でも顧客接点が増える昨今、CRMツールの導入を検討される会社も多くいると思います。
多くのメリットがあるものの、導入には準備や予算などクリアしないといけないハードルが存在するのも事実です。それなりの労力をかけて導入をするのであれば「コスパがいい」製品を選びたいもの。しかし自社にとってどんなCRMが「コスパがいい」といえるのか、どう比較すればいいのか頭を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、自社にとってどのようなCRMが「コスパがいい」ものといえるのかという視点を交えながら、おすすめのCRMツールをご紹介します。
どのようなCRMが「コスパ」がいい?
昨今では本来の費用対効果の意味に加えて、サービスの質が良いと感じられた場面や期待以上の機能や能力を備えていたり、想定以上の成果や利益を生み出したりした場合に「コスパが高い・コスパがいい」と評価されることもあります。
では、CRMだとどうでしょう?
- 機能が多ければいい?
価格に対して、「備わっている機能が多い=コスパがいい」という考え方はわかりやすい基準です。しかしCRMは幅広い業務で使われることを前提にされているものが多い為、単純に実装されている機能数だけで決めてしまうと「必要ない機能ばかり充実している」という事態を招きかねません。
- 価格が安ければいい?
価格が安いものとなれば究極は「無料」のものです。CRMには確かに無料で使える製品も多くその代表格がOSS(オープンソース)型の製品です。専門知識があれば導入後の機能拡張が可能であったり利用人数に縛られずに利用したりと、一見すると「OSS型のCRMこそコスパがいい」と思えます。しかし、OSS型にもデメリットは存在します。前述した通り、OSSのCRMを運用するには専門知識が必要です。「無料」なのでサポートもありませんし、環境構築、セキュリティ対策も自社で対応しないといけません。何から何まで自己責任での使用になるわけですから、導入のハードルはむしろ高くなってしまいます。
企業によって「コスパ」の定義が変わる
搭載している機能の数や、価格などの基準だけでは、その企業にとって「コスパがいい」CRMか判断するのは非常に難しいです。しかし、業務の幅が広いのでとにかくリッチに機能がついている方がいい企業や、社内の情報システム部に余裕があり、自社だけで問題なく運用できる企業であれば、機能や価格を基準に選んだシステムが「コスパがいい」と言えます。
つまり、企業によって求める「コスパ」の定義が異なるということです。
なぜ企業によって「コスパ」の定義が変わるのでしょうか。
それは、企業によって抱える課題が異なるからです。
当たり前ですが、企業によって業務内容は異なります。似たような業務内容の企業はあっても、全く同じということはありません。
業務内容・業務フローが異なれば、抱える課題も当然ながら企業によって変わってきます。
例えば代理店管理に課題を抱えている企業があったとして、スペックや価格を理由に直販型向けのシステムを導入したらどうなるでしょう。課題は解決しないまま、予算と労力だけかかり使われなくなったシステムだけ残る、そんな悲惨な展開が容易に想像できてしまいます。
“自社の抱える課題に対して「コスパがいい」CRMなのか”この視点を忘れてしまうと、このような失敗を招いてしまうかもしれません。
少し遠回りに感じるかもしれませんが、自社の課題が整理できているかどうかがシステム導入の明暗をわける重要なポイントです、まずはきちんと課題を整理しておきましょう。
課題の整理方法については、こちらの記事でも紹介していますので、よろしければ参考にしてみてください。
おすすめのCRM 5選
前半の内容で、企業によって「コスパ」の定義が変わるとお話しましたが、自社の課題を把握していても数多く存在するシステムの中から、自社にマッチしたシステムを一から探しだすのは至難の業です。
そこで今回はCRMの特徴をSFA系、マーケティング系、サポート系、バランス系の4カテゴリに分けておすすめのCRMを抜粋してご紹介します。
SFA系
eセールスマネージャー
■提供元
ソフトブレーン株式会社
■機能/特徴
eセールスマネージャーは日本の営業スタイルに特化した機能が多く、エリアを指定するだけでターゲット企業が確認できたり、その日の訪問ルートを指定して地図上から報告も可能な地図機能はエリア営業やルート営業にとても実用的ですね。
シングルインプット・マルチアウトプットを採用しており、案件管理・顧客管理・スケジュール管理などそれぞれに入力する必要がなく、一度の入力で紐づいている全ての項目に反映されるので、入力の手間も省け、管理も効率よく行えます。
バラバラのツールや複数のExcelファイルでの管理に課題を感じている企業、スタンダードな日本の営業スタイルの企業におすすめです。
一方で初期設定の変更が個人の好きなタイミングで行えない為、スタートアップ企業やビジネスモデルの変化が頻繁に起こる企業にはニーズが合わない可能性もあるので注意しましょう。
マーケティング系
Hubspot CRM
■提供元
HubSpot Japan株式会社
■機能・特徴
ベースとなるCRM機能は無料で使用でき、マーケティング/営業支援/カスタマーサービスに特化した各機能を追加したい場合は有料の「Marketing Hub」「Sales Hub」「Service Hub」へとアップグレードするという仕組みとなっており、中でも「Marketing Hub」はインバウンドマーケティングの理論を基に設計されている為、チャットボットやスコアリングなどのMA(マーケティングオートメーション)の機能がとても充実しています。
段階にあわせて有料機能を拡張できるので、MAツールの導入経験がない企業はHubspot CRMから試すのもいいかもしれません。
ただし、Hubspot CRMはアメリカ製のサービスなので日本語表現に違和感があるという声も多いです。
大幅に改善を進めているので、以前に比べれば違和感がある翻訳は少ないとは思いますが、不安を感じる場合は無料版で使用感をあらかじめ確認してみましょう。
サポート系
Zendesk
■提供元
Zendesk
■機能・特徴
異なるチャネルからの問い合わせを一元管理することができ、全ての履歴を一覧表示することができるので対応・未対応の状況を見える化、対応漏れを防ぐことができます。問い合わせ履歴は顧客情報に紐づけることも可能なので、効率的に問い合わせを管理できますね。
他にもヘルプセンターの構築機能やリアルタイムでオンライン接客が可能になるチャット機能などサポート系の機能が非常に充実しています。
カスタマーサービス用のパッケージプラン「Zendesk for Service」にはSFA機能は含まれていないのでSFA系の機能も必要な場合は注意しましょう。
また、機能とメニューが充実している分、目的がはっきりしていないとプラン選びから躓いてしまうかもしれません。目的整理をしっかりした上での検討を推奨します。
バランス系
Salesforce Sales Cloud
■提供元
株式会社セールスフォース・ジャパン
■機能・特徴
世界で15万社以上が導入しており、CRMにおいては世界でNo.1シェアのツールです。
機能はもちろん、アプリケーションを構築する為のプラットフォームそのものも提供しているので、企業のニーズやスタイルに合わせてアプリを開発することも可能、柔軟性も申し分ありません。
Zendeskの紹介でも述べたように機能とメニューが豊富だとプラン選びに躓く、あるいは導入後に定着しないまま失敗に終わってしまうことも多いので十分注意しましょう。
またコスト面ですが、最もよく使われるライセンスの「Enterprise」だと月額19,800円/ユーザー、中小企業向けの「Professional」だと月額9,600円/ユーザーと決して安価とはいえない価格です。コストをかけて導入したのに「機能が使いこなせない・定着しない」で終わってしまわないように、しっかり準備をしておく必要がありますね。
F-RevoCRM
■提供元
シンキングリード株式会社
■機能・特徴
大抵のCRMツールがベースとなるCRM機能にSFA系やMA系などの機能を有償で追加するのに対して、F-RevoCRMはマーケティング、営業、販売、問い合わせ、レポートなどの機能が標準機能として備わっています。顧客情報に営業やサポートなどの情報を紐づけることができるので、社内での情報共有がスムーズに行えますね。項目追加なども設定から変更できるので、全社的にシステムを導入したい企業や、業務フローの見直しや変化が頻繁にある企業におすすめです。
OSS版も提供しているので、専門知識があり、コストをとにかく抑えたい場合は無料で導入することも可能ですが、記事前半で述べた通りOSSだと全て自己責任です。環境構築や導入後の運用・改修も全て自社で対応する必要があるので、リソースが十分に確保できない場合は、有償のCloud Editionの導入や保守サポートの加入も視野にいれて検討するのを推奨します。
終わりに
今回、どのようなCRMが「コスパ」がいいと言えるのかという視点を交えつつ、おすすめのCRMをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
「コスパ」がいいものを選ぼうとすると、つい機能数や価格で比較しがち…
わかりやすい基準で比較する前に自社の課題を整理し、“課題に対して「コスパ」がいいものか”という視点のもと、適切なCRMツールを選びましょう。